ホームユーステスト(HUT)
新製品や試作品などを対象者宅に送り、実際に使用してもらい、その評価を得る調査手法です。
商品・製品が実際の使用環境でどのように受け入れられるかを調査する手法の一つに、ホームユーステスト(HUT)があります。HUTは、調査対象者(モニター)に実際の生活空間で商品・製品を試用してもらい、その感想や反応を収集する調査手法です。
本記事では、ホームユーステスト(HUT)の調査手法や目的、活用方法、メリット、注意点について解説します。ホームユーステスト(HUT)の具体的な進め方や成功させるポイントもご紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
【本記事のおすすめ対象者】
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ホームユーステスト(HUT)とは、調査対象者(モニター)に商品・製品を自宅で一定期間試用してもらい、その使用感や効果をアンケートやインタビューで収集する調査手法です。「Home Use Test」の頭文字を取ってHUTと呼ばれています。実際の生活環境で得られるリアルなデータがHUTの大きな特長です。
ホームユーステスト(HUT)は、調査対象者(モニター)に商品・製品を自宅で試用してもらうため、実施手順が非常に重要です。まず、調査対象者(モニター)を選定し、リクルートします。
次に、選定された調査対象者(モニター)に商品・製品を配送し、使用方法や注意事項を説明する資料も同梱します。調査対象者(モニター)は一定期間(通常は数週間から1ヶ月)商品・製品を使用し、その後アンケートやインタビューを通じてフィードバックを提供します。これにより、実際の使用環境での詳細なデータが収集されます。
ホームユーステスト(HUT)の主な目的は、実際の生活環境で商品・製品がどのように使用されるかを確認することにあります。この調査方法を通じて、長期間の使用における評価を得ることができ、耐久性や効果の持続性も確認できます。
さらに、詳細な意見や改善点を収集することで、商品・製品開発や改良に直接反映させることが可能です。HUTは市場投入前の商品・製品評価や既存商品・製品の改良点を見つけるのに非常に有効です。
ホームユーステスト(HUT)は、新商品・製品の発売前にターゲット顧客層のリアルな反応をチェックするための手法として広く活用されています。既存商品・製品の改良点を確認するためにも有効です。
また、HUTで得られる実際の使用データを基に、マーケティング戦略を立案することもできます。これにより、効果的なマーケティング施策を展開することが可能になります。
ホームユーステスト(HUT)は、実際の生活環境で商品・製品がどのように試用されるかを直接確認でき、よりターゲットの実態に近い本音が聞ける点が大きなメリットです。試用期間が長く、定量・定性の両方のデータを収集できるため、真の価値や詳細な改善点を見つけやすいです。
また、一定期間試用されることで、途中経過(商品に飽きないか、商品の消耗の度合いはどうかなど)を一緒に調査することが出来ます。これにより、より現実的で多面的なフィードバックが得られるため、商品・製品改良やマーケティング施策に非常に役立ちます。
ホームユーステスト(HUT)が、ホームユーステスト(HUT)を通して「商品・製品のファン=顧客になる」こともあります。
ホームユーステスト(HUT)には多くのメリットがある一方で、いくつかの注意点も存在します。まず、家庭ごとに試用環境が異なるため、条件を統一するのが難しいことがあります。
さらに、調査期間が長いため、コストや時間がかかることも考慮する必要があります。個人の使用感や感覚が異なるため、データにばらつきが生じる可能性もあります。こうした課題に対処するために、綿密な計画と管理が求められます。
以下のことに注意してホームユーステスト(HUT)を行いましょう。
それでは具体的に解説していきます。
調査対象者(モニター)の途中離脱が起こりうることを想定して、離脱が起きても十分なサンプルを得られるよう、一定数よりも多めに確保できるように調査を行いましょう。
あまり専門用語を使いすぎてしまうと、モニターが混乱して途中離脱につながる恐れがあります。しかし、逆に簡素過ぎても、試用条件が統一できずに調査対象者(モニター)ごとにズレが生じる原因にもなります。
テスト期間中は、調査対象者(モニター)に管理が一任されます。テスト中に調査対象者(モニター)が商品・製品を壊してしまったらテストを敢行できなくなるので、使用後に返却する/しないに限らず、案内書は作成しましょう。
また、機密性の高いもの、破損のリスクをどうしても避けたいものは、ホームユーステストには向かない可能性があります。今一度確認しましょう。
どんな調査にもメリットとデメリットがありますが、しっかり対策することで防げる場合も多くあります。どうしても不安がぬぐえないといった場合には、そもそも、調査目的に調査方法が適していないことも考えられるので、調査企画の段階で、目的とメリット・デメリットをしっかり照らし合わせるようにしましょう。
ホームユーステスト(HUT)の実施方法について、主に調査目的の設定からレポートの作成までの流れについて説明します。
ここからSTEPごとに詳しく解説していきます。
成功するホームユーステスト(HUT)には、まず明確な目的が必要になります。調査で欲しい情報をはっきりとさせ、そのデータがどのように役立つのかを考えるのが始まりです。ターゲットとなる情報やそれがどのように活用されるかを細かく設計することで、調査計画の立案もスムーズに進むでしょう。また、目的が明確にあれば、無駄な時間を削減し、効率良く情報を集めることが可能です。
調査目的を明確にしたら次に進むのが調査計画の立案です。調査の目的に適した方法を選び、調査する情報の範囲を設定し、調査を実施する期間や頻度を決めるのが重要です。また、情報収集の具体的な作業手順や、調査から得たデータをどのように管理・整理するかといったプロセスも必要となります。これらを全て計画に落とし込むことで、具体的な行動指針が形成され、調査をスムーズに遂行することが可能になります。
試用後に感想を収集する際には、アンケートを行います。自社の商品・製品や評価方法などによって、質問項目も多岐にわたりますので、一概には言えません。
なお、アンケートには「定量調査」と「定性調査」があります。簡単に説明すると、定量調査は「はい or いいえ」や「5段階評価」など、回答を数値で測ることができる調査です。反して、定性調査は「どのような点が“使いやすそうに見えない”と思いますか」「その点数にした理由を教えてください」といった、FA(フリーアンサー)回答を得られる調査です。
ホームユーステスト(HUT)では、調査対象者(モニター)の回答時間を共有できません。そのため、「良かった(=何がどう良かったのかわからない)」「飲みやすかった(=なぜ飲みやすかったのかわからない)」といった抽象的であいまいなFA(フリーアンサー)があった場合、それ以上深堀することができないため注意が必要です。
ホームユーステスト(HUT)では、商品・製品のターゲット層となり得る対象者に試用してもらうことが必要なので、調査対象者のスクリーニングが必要です。ここでは、精度の高いスクリーナー(スクリーニング調査票)を作成して、対象者を選定します。多くの調査会社ではモニターを多数保有していますので、そこからスクリーニング調査によって、対象者を絞り込みます。
自社の商品・製品を最もよく知るのは自社の人間であることに間違いはありませんので、自社でスクリーナーを作成することはまったく問題ありません。ただ、調査会社は、専門家としてはもちろん、生活者・消費者としてその商品・製品を客観視することもできますので、スクリーナー作成の段階から調査会社と細かい相談を重ねることをおすすめします。
対象者条件が決まったら、モニターを募集します。条件に合致したモニターが決まったら、テスト品とアンケート用紙の送付(実査)に移ります。
ここまでの準備が済んだら、実際に調査を実施します。入念に準備を行った場合でも、調査中に思わぬ事態が起こることはあり得ます。たとえトラブルに見舞われたとしても、焦らずに冷静に対応することが大切です。調査設計を念頭に置き、調査の趣旨が大きくずれないように適宜対応するとよいでしょう。
調査終了後は、アンケートの集計と分析を行い、レポートの作成を行います。集計方法としては、一つの項目に対する結果を集計する「単純集計」と、複数の項目の結果を組み合わせて集計する「クロス集計」が主です。
また、前項でふれた「FA」については、言葉での回答を数値に置き換える「アフターコーディング」という自由回答処理の段階を踏んでから、集計をします。
リサーチ会社によっては、集計を行うだけでなく、集計ツールを提供している会社もあります。自社の調査目的において必要となる集計や分析方法について、事前に相談することをおすすめします。
ホームユーステスト(HUT)を成功させるためには、明確な調査目的を設定することが重要です。何を知りたいのかをはっきりとさせることで、調査の方向性が決まります。
また、適切な調査対象者(モニター)を選定することも重要です。調査の各段階について詳細な計画を立てることで、スムーズな実施が可能になります。定量・定性データの収集には丁寧なフィードバックが欠かせませんので、その扱いにも注意が必要です。
ホームユーステスト(HUT)は、実際の使用環境で商品・製品やサービスがどう受け入れられるかを調査する非常に有効な手法です。日常生活の中で得られるリアルで多面的なデータは、商品・製品開発やマーケティング戦略に大いに役立ちます。
しかし、調査の計画や対象者の選定など、注意すべき点も多いため、専門のリサーチ会社のサポートを受けることをおすすめします。
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