定期ラウンダー(店舗巡回・店頭営業)
流通小売店舗を定期的に訪問し、本部決定事項の具現化や売場づくり、店舗担当者との交渉など、店頭プロモーション全般を実施します。
ラウンダーとは、メーカーの営業担当者に代わり、店舗や施設を訪問し、自社商品やサービスの売上アップのために活動するスタッフのことです。
本記事では、ラウンダーという人材の特徴や、ラウンダーが売上アップのために果たしている役割について解説します。
すでにラウンダーの導入をご検討の企業様は、下記のサービスページをご覧ください。
>インパクトフィールドが提供する「定期ラウンダー(店舗巡回・店頭営業)」
>インパクトフィールドが提供する「スポットラウンダー(店頭作業)」
ラウンダーとは、スーパーマーケットやドラッグストア、GMS、ホームセンター、コンビニエンスストア、家電量販店などの流通小売店舗を巡回して、店頭で販促活動や売場メンテナンスを行うスタッフです。フィールドスタッフや店舗巡回スタッフとも言われています。
営業担当者が流通小売本部との本部商談で決定した店頭販促施策やキャンペーンを店頭で実現するのがラウンダーの仕事です。
流通小売店舗は日本各地に数えきれないほどあります。エリアごとにラウンダーを配置することで、店舗の売場を手厚くサポートすることができます。ラウンダーは「店舗」と「来店するお客様」と「メーカーの商品」をつなぐ、大切な役割を担っています。
ラウンダーは、具体的に以下のような店頭活動を行っています。
また、ラウンダー業務を担当するスタッフの雇用形態はさまざまです。
ラウンダーの活動内容については下記ページでも詳しくご紹介しています。
>インパクトフィールドが提供する「定期ラウンダー(店舗巡回・店頭営業)」
>インパクトフィールドが提供する「スポットラウンダー(店頭作業)」
BtoB営業は、一般的には以下の流れで行われます。
①集客
②見込み客の獲得
③見込み客の育成
④アポイントの獲得
⑤新規顧客との商談・契約の獲得
⑥既存顧客のフォローアップ
どのフェーズも重要な営業活動ですが、多くの企業が最も時間を割いているのが「⑥既存顧客のフォロー」です。これは、既存顧客からの売上比率が高いことが多く、また、既存顧客に対する営業は新規顧客への営業よりも低いコストで高い成果が得られるためです。
既存顧客となる店舗を巡回するラウンダーは「⑥既存顧客のフォロー」において大きな役割を果たしています。
営業担当者も、ラウンダーも、既存顧客への営業活動を行いますが、その業務内容や営業先が異なります。メーカーの営業担当者は主に流通小売チェーン本部と商談・交渉し、店頭での営業活動内容を決定します。
一方でラウンダーは、流通小売チェーン本部との商談・交渉で決定した店頭販促施策を営業担当者に代わり、店頭で実現するのが仕事です。営業担当者だけではカバーしきれない店頭フォローをきめ細かく実施することができます。
また業務内容が異なるため、営業担当者とラウンダーはそれぞれの目標設定も異なります。営業担当者は売上・利益を上げることが目標となるため、売上目標などが設定されているケースが多いです。
一方ラウンダーは、従来の営業担当者の業務内容を分担して営業担当者の業務負担を軽減させることが大きな役割なので、売上・利益でなく、その手前の店頭活動指標が目標として設定されるケースが多いです。営業担当者の売上の目標をクリアするためのKPIの1つです。
流通小売業界では、今や多くの企業がラウンダーを導入しています。ラウンダーが必要とされる背景として、消費財メーカーの抱える課題を2つご紹介いたします。
本部商談から店頭実現までの基本の流れは以下の通りです。
この流れを見ると、本部商談で決定した事項は各店舗でそのまま実現しているように思いますが、実は本部商談決定事項が店頭で具現化されるのは4割と言われています。
具現化されない理由のひとつは情報過多です。1つのカテゴリだけでもブランド数・SKU数は多岐にわたり、店舗担当者に共有される情報は膨大な量になってきています。そのような中で、店舗担当者はメーカーから流れてくる情報すべてを読み切れていない、情報が伝達されず埋もれてしまっている、情報は確認したが忘れてしまっていた、などのケースが発生します。小売側のリソース不足なども上記の傾向を助長させています。
また、もう1つの理由は店舗独自の判断によるものです。店舗の売場担当者は自店舗の売上が上がるように商品展開や販促施策を考えます。このような背景から、過去売れ行きが良くなかった商品だから採用しない、立地や売場の広さを加味して自店舗では実施しない、本部商談では決まっていなかったが、メーカー営業担当者が直接店舗へ訪問した際に提案した企画を採用したなど、様々な理由により、バイヤーとの商談時に決定した企画が店舗の判断で中止されたり、実行されても途中で撤去されたりすることがあります。
前述の通り、バイヤーとの本部商談決定事項であっても必ずしも店頭で実現されるとは限りません。このような状況下で店頭実現率を高めるためには、営業担当者が各店舗を訪問し、店舗担当者に本部決定事項を直接伝達し、実施可否の交渉や売り場作成を自ら行うという選択肢もあります。
しかし、メーカー営業担当者を取り巻く環境は変化してきており、店頭のフォローまで手が回らないケースが増えてきています。例えば、自社で取り扱うカテゴリや取り扱いチェーン数の増加とともに、商談相手のバイヤーが増え、本部商談により多くの時間とパワーが必要となったり、カテゴリ増加にともない、競合も増えるため、本部商談や店頭フォローのさらなる強化が必要になったりするケースです。
さらに、各業態の商品構成も変化しつつあるため(ドラッグストアが食品、家電量販店で日用品を取り扱うなど)、新しい販路開拓を行わなければいけないケースもあるでしょう。
ラウンダーを導入するメリットは大きく分けると以下の3点です。
それぞれのメリットについて解説します。
本部商談と店舗巡回を営業担当者が1人で担当している場合、本部の意向が実現化しやすい、店舗担当者との情報交換が密にできる、といったメリットがあります。その反面、本部商談に時間を取られることで、フォローできない店舗が出てきたり、その逆で本部商談の質が低下したりといったデメリットも発生します。
そこで、店舗巡回業務をラウンダーに依頼することで、営業担当者は主業務である本部商談に集中することができます。
店舗巡回業務をラウンダーに依頼することで、各店舗の巡回頻度を高めることで細やかな店頭フォローを行い、店舗の店長や売場担当者との関係性構築することができます。
また、店舗巡回時に発注促進や売場メンテナンスを行うことで、販売機会ロスの低減に繋がります。店舗フォローの維持、もともと巡回できていない店舗であればフォローの強化できる体制が構築できます。
ラウンダーは、現地のスタッフを組織化するため、営業担当者が店舗訪問の際に掛かっていた交通費や出張経費のコスト削減が見込めます。全国展開する店舗を東京に在籍する営業担当者が出張ベースで巡回していたとしたら、コストは膨大なものになります。
またラウンダーは正社員ではなく、契約社員やアルバイト契約で雇用することが多いため、正社員である営業担当者と比較すると人件費コストを低減することにも繋がります。
ラウンダーは、複数の担当店舗を持ち、担当する店舗を定期的に訪問し、依頼された店頭施策を実行します。ラウンダー業務の流れは下記の通りです。
それでは、ステップごとに詳しく解説します。
営業担当者は本部商談で決まった事項をもとに、ラウンダーへ業務を依頼します。「活動指示書」「業務指示書」などと呼ばれる依頼内容をまとめた書面を使ってラウンダーへ業務を依頼することが多いです。
ラウンダーは担当店舗へ訪問し、本部商談で決定した店頭施策や活動指示内容を店長や売場担当者に伝え、店頭活動を行います。
ラウンダーは店頭活動後、店頭施策や活動指示内容の実施可否、活動した内容の詳細、作業前後の売場画像、店長や売場担当者の反応や要望などを営業担当者へ報告します。活動報告はメールやエクセルで報告するケースもありますが、現在は委託先の会社が保有している専用のレポーティングシステムでレポートを作成することが多いです。
ラウンダーから店頭活動や店頭状況の報告を受けた営業担当者は、その内容をもとに今後の店頭施策や流通小売チェーン本部との商談での提案・交渉内容などをブラッシュアップし、次回の本部商談・店頭活動へ活かしていきます。
ラウンダーは効率よく短時間で多くの店舗巡回を行えるかがポイントです。そのため、ラウンダーへ巡回店舗を割り当てる際は、エリア担当制を採用しているケースが多いです。
エリア担当制とは、巡回店舗をエリア単位で区分し、近隣に住んでいるラウンダーが巡回を担当することです。エリア担当制以外では、流通小売チェーンごとに担当するチェーン担当制を設ける場合もあります。
ラウンダーは限られたエリアで集中的に活動するため、交通費・出張経費などのコストや移動時間を削減することができます。また、担当エリア内の複数の流通小売チェーン店舗を巡回するため、チェーンごとの特性や、競合メーカーの売場展開状況、業界のトレンドなどの情報収集をすることができます。
ラウンダーを外注する際には、主に以下の費用が発生します。
ラウンダーを導入する際にコストに影響するのが、ラウンダーの契約形態や報酬体系です。
ラウンダーの契約形態は、委託先の会社により異なりますが、契約社員、業務委託、アルバイトなどが一般的です。報酬体系は、日給もしくは時給で契約しているケースが多いです。
ラウンダーの報酬額は、活動内容、活動内容の難易度、活動するエリアの賃金水準により変動します。
ラウンダーを導入するには、自社でラウンダーを採用し運営・管理まですべて自社で行う「内製化」と、ラウンダー専門会社にアウトソースする「外注化」の2パターンがあります。
社内でラウンダー導入を決定し、採用・契約まで済ませても、店舗巡回開始までに、事前に流通小売チェーン本部に店舗巡回の許可を得る必要があります。これは、ラウンダーを外注する場合でもメーカーの営業担当者が必ず行わなければならないタスクです。
店舗巡回の許可を得る際に、流通小売店舗の売上アップに貢献するという流通小売側のメリットをしっかりと説明することが重要です。ラウンダーは、店長や売場担当者に必ず許可を得てから店頭で活動を行うため、本部商談の段階での確認は細かすぎないことをおすすめします。
業務設計は、下記の店頭活動の目的や目標、店頭戦略、店頭施策、効果検証をまとめ、PDCAサイクルを構築するという基本的な内容です。
ラウンダーを導入することで達成したい目的を明確にします。業務設計の中でも最重要事項となります。シンプルな言葉で表現できるものにすると、社内で共通理解がしやすくなります。
目的を達成するためのプランを設定します。目的達成のためのプランは複数ある場合もあります。目標を定める際は、実現可能性が高いものから決めていくことをおすすめします。
目標達成に向けて限られたリソースをどこに集中させるかということです。具体的には、予算を投下して店頭活動を行う対象を選択します。
訪問店舗については、現時点で売上が高い店舗だけを選定するのではなく、販売を強化したい商品のターゲット層が多い店舗など、ポテンシャルも考慮して選定することが理想です。
目標達成に向けた具体的な店頭施策を定めます。理想の売場を作り上げるために「ラウンダーが店頭で何をするか」「ラウンダーをどうマネジメントするか」を決定します。
店頭施策の進捗管理と目標達成に向けた効果検証を行います。そのためには、目標を決めるタイミングで効果検証を想定したレポートのフォーマットを作成しておくことも重要です。
活動内容 | 店舗訪問時、店舗側への交渉による機会ロスの軽減、発注量の増加 流通施策の導入に向けた店舗商談の実施 店舗コミュニケーションによる関係性の向上 |
提供サービス | 定期ラウンダー/Market Watcher |
巡回エリア | 全国のGMS/スーパーマーケット |
ラウンダー | ラウンダー100人 |
店舗数 | 月間6,000店舗 |
活動内容 | CMと連動した売場の構築 スタッフが販促物を持参し、機会ロスの軽減 自社売場を把握するための店舗カルテを作成 |
提供サービス | スポットラウンダー/Market Watcher |
巡回エリア | 全国のドラッグストア・GMS |
店舗数 | 5,000店舗 |
期間 | 1ヶ月間 |
ラウンダーを採用・育成する際にポイントとなるラウンダーの適性やスキルをご紹介します。ラウンダー組織を新たに自社で内製化する場合は、ラウンダーの採用や育成も自社で行う必要があるため、必要な適正・スキルを予め把握しておく必要があります。
専門知識や資格は不要とはいえ、ラウンダーは向き不向きがある職種です。活動に必要なヒューマンスキルを持つ人材を採用・育成することが重要となります。
それでは、それぞれの必要な適正・スキルについて詳しく説明します。
ラウンダーを採用・育成する際にポイントとなるラウンダーの適性やスキルをご紹介します。ラウンダー組織を新たに自社で内製化する場合は、ラウンダーの採用や育成も自社で行う必要があるため、必要な適正・スキルを予め把握しておく必要があります。
専門知識や資格は不要とはいえ、ラウンダーは向き不向きがある職種です。活動に必要なヒューマンスキルを持つ人材を採用・育成することが重要となります。
ラウンダーは、そのエリアの客層を把握したり、そのエリアで売れる物の価格帯情報(一般世帯向け、高級志向向け)などの情報収集が欠かせません。また、競合の商品情報のリサーチや、競合店舗のリサーチなども行います。テレビや雑誌、ニュースなどのトレンド情報などに常にアンテナを張っておくなど、情報収集力が必要です。
ラウンダーには、業務指示書やマニュアルにはない要望や状況に対して臨機応変に対応するスキルも求められます。ある店舗では実施できた施策や陳列方法が他の店舗では実施できないなどといったこともよくあります。業務指示書やマニュアルに頼るのではなく、店舗の状況に即して臨機応変に対応する必要があります。
また、商品が届かない、商品へのクレームなど、突発的なトラブルに対応する機会も少なくありません。このような場合にも慌てずに、臨機応変に対処できることスキルも必要と言えます。
メーカーの名前を担う一員として、ラウンダー業務には商品知識も必要です。新商品や季節商品投入などで扱う商品は随時変わるため、入職後も継続的に学ぶ意欲がある人が望ましいです。商品知識があれば業務にも早く慣れ、店長や売場担当者からの信頼も得やすいです。
逆に、商品知識が乏しいラウンダーでは、売場の交渉や新商品の提案といったより高度な業務をこなすことは難しいでしょう。また、ラウンダーは担当店舗の現状分析をもとに、競合店舗と比較してどんな強みがあるのか?、売上を伸ばすためにはどんな企画をしたらいいのか?など、を常に考える仕事です。近年はネット購買ユーザーが増えているため、来店してもらうための施策も考えたりするなど、提案力が必要な仕事です。
ラウンダー業務を続けていく上でラウンダーが克服すべき課題は他にもあります。ラウンダー特有の大変さから人材が定着しない場合がある点に留意してラウンダー組織を運用する必要があります。留意する点は主に下記の3点です。
それぞれの留意点について解説します。
店舗を巡回するとき、店舗の担当者など知らない人と話す機会が多くなります。また、ときには「商品が売れていない」とクレームがつくこともあります。
また、多くのラウンダーが業務上の大変さとして挙げるのが人間関係の難しさです。メーカーと店舗それぞれの意向を調整し、最善の方法で対処するのがラウンダーの腕の見せ所ですが、このような状況に対処できず、メーカーと店舗の板挟みになって悩むケースが多く見られます。
これらは、ラウンダーなら誰しも直面する可能性がある課題であるため、マネジメント側が研修やOJTなどを通じて交渉・コミュニケーションスキルを継続的にフォローしていく必要があります。
意外と体力を使う仕事であることを挙げるラウンダーも多いです。搬入や商品陳列の業務では、バックヤードから商品を運んだり売場で商品を動かしたりなど、未経験者には想像できないほど体力を消耗します。
また、1日で複数の店舗を巡回するため、暑さ・寒さによる消耗、移動の疲れなど、デスクワークにはない疲労やストレスも発生します。ラウンダー組織を運用する際には、これらの体力面の問題から離脱するラウンダーが一定数いることを覚えておく必要があります。
ラウンダーの仕事は、一人で移動し、品出しをして店頭に商品を並べるので、基本的には一人で作業することが中心となります。スーパーバイザーや担当者に電話することはもちろんできますが、店頭で誰かに相談することはほとんどないため、孤独を感じることもあります。
ラウンダーは営業担当者に代わり店舗へ訪問し、本部で決定した店頭施策を実現化する重要な役割を担っています。既存顧客の売上拡大に効果を発揮するラウンダーですが、仕組みづくりや日々の運用、ラウンダーの採用や教育・育成は決して簡単なものではありません。ラウンダーの組織づくりや運営にリソースが割けない場合には、アウトソースすることをおすすめします。
インパクトフィールドでは、様々な目的のラウンド業務に対応可能です。業務設計からラウンダーのリクルーティング、店頭施策の実行、データ集計分析、アフターフォローまでワンストップで対応しております。ラウンダーの導入をご検討中の企業様は、ぜひインパクトフィールドにお問い合わせください。
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