フィールドマーケティング
店舗の定期巡回、個店商談、売場づくり、店頭での作業など、店頭・売場におけるフィールド業務をサポートします。
店頭や売場で行われる販促・マーケティング活動を「フィールドマーケティング」といいます。ただし、フィールドマーケティングは店頭・売場で行うと言っても、そこだけで完結するものではありません。しっかり企画を立て、メーカーと流通小売で本部商談を行い、本部商談で決定した事項を店頭で実現することではじめて成果が上がります。
フィールドマーケティングを行っても効果が上がらないとお悩みの企業様もいますが、その場合はそもそものフィールドマーケティングの進め方に課題がある可能性があります。
そこで今回、本記事ではフィールドマーケティングを成功に導くための方法について解説します。
すでにフィールドマーケティングの導入をご検討の企業様は、下記のサービスページをご覧ください。
>インパクトフィールドが提供する「フィールドマーケティング」
フィールドマーケティングとは、流通小売店舗の売場など、生活者・消費者と商品が直接接触する場をフィールドと呼び、ここを重視したマーケティング戦略のことを指します。
売場など生活者・消費者の生活により近いところでのマーケティング展開は、商品陳列、POP類、顧客動線などすべての要素が対象となるため販売促進効果も大きく、販売に直結したマーケティングです。
フィールドマーケティングは、メーカー、卸および流通小売の三者が協調して、きめ細かな店頭施策が実施できるようプランニングする必要があります。
日本でのフィールドマーケティングをみてみると、「ラウンダー」 という職種がその役割を担っているケースが多いです。ラウンダーとは、メーカー側の営業担当者のことで、店舗を巡回して売場のレイアウトや棚割りを考えたり、店頭での販売戦略について店舗担当者と交渉したりする役割です。
主にアメリカから出てきた時点では、本来のフィールドマーケティングは単なるラウンダーの役割に留まらない概念でした。多くのアメリカ企業ではマーケティングの役割が非常に大きく、営業はマーケティングで決めたことを現場で店頭実現するだけです。そのため、元々のフィールドマーケティングが持っている意味合いは、店頭展開・スタッフ配置などを含む店頭に関する戦略全般のことです。
フィールドマーケティングは、店頭・売場で行う販促・マーケティング活動のことです。成果を上げるためには、「企画担当」「本部担当」「店舗担当」の3つのPDCAサイクルが連携する必要があります。
「企画担当」「本部担当」「店舗担当」のPDCAサイクルがそれぞれ独立して回っていては、店頭活動を成功させることは難しいでしょう。それぞれのPDCAサイクルが上手く噛み合いながら回転しなければ、効果の高いフィールドマーケティング活動を行うことは難しいでしょう。
ここからは、店舗担当のPDCAサイクルにスポットを当てて、フィールドマーケティングについてみていきます。
フィールドマーケティングは、「① 現状把握」「② 現状を変える」「③ 次回に活かす」の3ステップに分けてで進めていくのが効果的です。フィールドマーケティングが上手くいっていない時は、どのステップに問題があるのか確認することが必要です。
現状把握は、フィールドマーケティングの最初の一歩となるものです。いくらメーカーと流通小売の本部が商談を行い、企画展開や仕入れについて契約を結んでも、店頭実現率が低ければ効果が上がるはずがありません。
たとえ売上の数字やPOSデータがあっても、実際の店頭状況がわからなければ、どのように販売されているのか、実態を理解することはできないでしょう。店頭調査活動を通して、現状を把握する必要があります。
なお、現状把握とは、「商品が陳列されているか」「POPがついているか」といった簡易的な確認をするだけでなく、細かい状況を確認し、分析に役立てられる定量的なデータを収集することを指します。
フィールドマーケティングのために把握すべきこと
- 自社商品および競合商品は、どこの売場で、どの棚の何段目に、何フェイス展開されているか?
- 販促物、販促什器が指示書通りに設置されているか?
- 本部が設定した店頭での販売価格になっているか?
- 競合他社の店頭・売場での展開状況はどうっているか?
上記のような細かい状況を定量的かつ定性的に分析することが、フィールドマーケティングにおける現状の把握と言えます。
現状把握の次のステップが、現状を自社に有利になるよう変えていくことです。ラウンダーが行う現状を変えるアクションは、大きく下記の2つに分けられます。
本部との商談に沿った形に変える
店舗によっては、本部商談通りの陳列や価格設定、施策が展開できていないこともあります。このような店舗に対しては、ラウンダーが店長や売場担当者と交渉し、本部商談で決定した内容に沿った形で売場展開を行うよう、働きかけなければなりません。
それでも、店舗側が本部商談通りに展開を行わない場合には、その理由を把握する必要があります。何が問題になっているかわかれば、それを解決するための提案が可能です。
店長・売場担当者の裁量でアレンジできる店舗にアプローチする
商品の陳列やプロモーション展開について、店長や売場担当者の権限が大きい店舗もあります。ラウンダーが関係性を構築したうえで、自社商品を優位置で展開してもらえるように交渉しましょう。
店舗にとってもメリットになる売場提案ができれば、現在の売場を拡大できる可能性があります。
ラウンダーの活動結果を集計分析し、本部商談や次の店頭施策に活かすのが、フィールドマーケティングの3つ目のステップです。
ラウンダーの活動結果を、施策別、チェーン別、ラウンダー別に集計分析して可視化することで、フィールドマーケティングにおける課題がみえてきます。
フィールドマーケティングの課題例
- 店頭施策そのものが良くない
- 店頭施策は良いが、本部商談が上手くいっていない
- 本部商談で承諾は得ているが、店頭実現率が低い
- ラウンダーの交渉力が弱い
施策別、チェーン別、ラウンダー別に集計分析を行い、可視化すすることで、どの企画、どの流通小売チェーン、どのラウンダーに課題があるかが明確になり、その課題を改善するための施策をとれるでしょう。何が課題で、どうすれば解決できるのかがわかれば、本部との商談でもデータを活かした交渉も可能になります。
一方で店長の裁量による売場展開によって売上がアップした店舗があれば、その売場展開事例を本部にアピールすることで、横展開の提案も可能です。実際のデータに基づいて交渉ができるため、説得力が高まります。
このように、しっかりステップに従ってフィールドマーケティングを展開し、次に活かすことで、商品展開フェイス数、商品展開率、商品の欠品率、販促物設置率のほか、定番売場・棚以外へのアウト展開率の改善につながります。
フィールドマーケティングを実施するには、「本部商談力」と「店頭実現力」の向上が必要不可欠です。さらに、フィールドマーケティングを成功に導くために、押さえておきたい3つのポイントをご紹介します。
では、具体的にどういうことか解説していきます。
フィールドマーケティングの目的を正しく設定できていなければ、フィールドマーケティングの効果を最大化することができません。また、フィールドマーケティングの目的が正しく設定されていたとしても、活動指示書や活動報告書の形式が目的を達成できるように最適化されていなければ、効果が上がらないでしょう。
今一度フィールドマーケティングの目的を確認し、実際の活動が目的達成に結び付くものであるか検証することをおすすめします。
また、フィールドマーケティング目的設定を行う際は、フィールドマーケティングで実現したいことだけでなく、次のステップで実現したいこと、最終的に目指すことをステップごとに目標設定していきましょう。短期的な目的設定に加えて、中長期に目的設定をすることで、フィールドマーケティングの方向性をよりはっきり定められるようになります。
フィールドマーケティングの目的設定例
- 現在実現したいこと:フェイス数・売場の拡大
- 次のステップで実現したいこと:売場拡大を実現した店舗の事例をもとに、本部商談で有利に進める
- 最終的に目指すこと:店舗と良好な関係を構築し、カテゴリーキャプテンとして双方にメリットのある意見言える関係になる
フィールドマーケティングを実施するには、ラウンダーが店舗巡回する必要があります。しかし、この巡回店舗はどこでも良いというわけではありません。
売場展開が少なく、売場の自由度が低い店舗で頻度高く積極的にフィールドマーケティングを実施したとしても、フィールドマーケティングで得られる効果は限定的です。多店舗展開している主要な流通小売チェーンや、売場の自由度が高く、店長や売場担当者への交渉により施策を展開しやすい店舗、売場面積が広く多くのお客様が来店する店舗などにターゲットを絞って、巡回する流通小売チェーン・店舗を選定しましょう。
巡回する流通小売チェーン・店舗の具体的な選定基準は下記の通りです。
ラウンダーが巡回する店舗の選定基準
- どのような業態か?
- 流通小売チェーン規模感はどの程度であるか?
- 流通小売チェーン本部との関係性はどうか
- 本部主導型か、店舗裁量型か?
- 自社商品の販売ポテンシャルはどの程度であるか?
- POSデータを入手可能か?
上記の選定は、営業担当者や本部担当者のイメージで決定するのではなく、自社の関係者で指標をつくり、客観的に選定する必要があります。
フィールドマーケティングの活動を通じて取得した情報を有効活用することができなければ、フィールドマーケティングの活動そのものの意味が半減してしまいます。それぞれの立場ごとに必要な情報を取得し、次に施策に活かしていくことが大切です。
情報活用例
- 企画部門:自社の開発した商品や競合商品の販売状況に加え、販売前時点の店頭・売場の状況を把握し、次回の施策立案に活かす
- 本部担当:担当チェーンの店舗状況を把握し、本部商談、次回の施策提案に活用する
- 店舗担当:自分の担当している店舗の状況を把握し、次回の店舗商談に活用する
上記の情報は店舗担当から本部担当に報告され、そこから経営層に報告するという段階的な報告スタイルではなく、システムによりできる限りリアルタイムで集計分析、現場の状況を可視化し、そのデータにどのレイヤーの人でも直接アクセスでき、それぞれの担当が必要なデータをダウンロードできるようにしておくことが理想です。
情報伝達において、間に入る人が増えれば、それだけ状況の共有漏れや伝達ミスが発生する可能性が高まります。レイヤーごとで情報の解釈が変わり、正しいデータが経営層に伝わっていないケースも少なくありません。人の意思を介在させず、現場の実態をリアルタイムにそれぞれの担当者が確認できる専用のシステムをつくっておくことをおすすめします。
また、フィールドマーケティングの活動を定量的かつ定性的にデータ分析するために、最終的に得たい情報を得るために適した活動指示書や活動報告書のフォーマットを整えておく必要があります。
フィールドマーケティングを成功へ導くためには、現場の施策だけではありません。「企画部門」「本部担当」「店舗担当」のそれぞれが適切にPDCAサイクルを回し、連携して進めていく必要があります。各部門の連携がうまくいっていないと、フィールドマーケティングの真を発揮するのは難しいでしょう。
どこに課題があるのかが不明瞭な場合や、課題解決がうまくいかない場合は、インパクトフィールドへお問い合わせください。
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