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はじめに

郵送調査は、指定された調査対象者へ調査票を郵送し、その回答を回収・分析する調査手法です。特に地域的制約を受けず、幅広い層から情報を収集できるため、市場調査や社会調査などで多く利用されています。他の調査手法と比較して、郵送調査は低コストで実施できる点や匿名性が確保され、回答者のプライバシーを守れるという特徴があります。一方で、回答者の負担がかかるため、回答率が低くなるという課題も存在します。


本記事では、郵送調査の基本的な情報からそのメリット・デメリット、効果的な実施方法といった内容について解説します。郵送調査の効果を最大化し、貴重なデータを正確に収集するための知識を共有します。


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郵送調査とは?

郵送調査 イメージ画像

郵送調査は、特定の情報を収集するために、調査対象となる人々に調査票を郵送し、その回答を回収する方法です。企業や研究団体、政府機関などが対象とする住民に対して意見や経験を収集する際に広く利用される調査手法です。

 

郵送調査の概要

郵送調査は、調査対象者に調査票を郵送し、記入された回答を回収ボックスや返信用封筒を利用して集めることが一般的です。インターネット調査の普及によりデジタルの選択肢が増えましたが、郵便を通じたこの方法は、特にインターネットへのアクセスが限られている地域や、より高齢の人口など、デジタル手段では接触が難しい集団へのアプローチ手段として重宝されています。

 

他の調査手法との違い

郵送調査は、インターネット調査や面接調査と異なり、調査対象者が自身のペースで回答を考える時間を持てるという利点があります。そのため、複雑な質問や詳細な情報を求める調査に向いているとされています。また、直接の対面がないため、回答者の匿名性が保たれやすく、より率直な回答が得られることがあります。

 

郵送調査を活用するメリット

郵送調査には、他の調査手法にはない独自のメリットがいくつか存在します。以下にその主な利点を挙げます。

 

広範囲へのアプローチ

郵送調査の最大の利点は、地理的制約を受けずに広範囲で情報を収集できることです。インターネットが普及していない地域や、高齢者などデジタルツールに慣れていない層にも確実にアクセスできます。これにより、幅広い地域や生活状況をもつ人々からデータを集められるため、調査の代表性を高めることが可能です。


郵送を通じて直接資料を送り届けるため、確実に調査対象者に到達し、受領が保証されやすい利点もあります。特に、インターネット環境にアクセスが難しい地域への調査や、デジタルデバイドを考慮した調査において、その力を発揮します。

 

コストの効率化

大規模な面接調査と比べて郵送調査はコストを抑えられるという魅力があります。対面でのインタビューにかかる人件費や会場費が不要なため、コストを効果的に節約できます。印刷や郵送にかかる初期投資はあるものの、一度に大量の調査を実施することで一件当たりのコストは低く抑えられます。


また、インターネット調査におけるプラットフォーム使用料と比べても、インフラに依存しないコスト管理が可能です。効率的な調査運営のためのコスト意識を保ちながら、質の高いデータ収集を目指す企業や団体にとって、郵送調査は経済的で実用的な選択肢を提供します。

 

匿名性の確保

郵送調査は、回答者に安心して正直に答えてもらうための匿名性を確保しやすい手法です。調査票が自宅に郵送されることで、調査対象者は他者の目を気にせず、自分のペースで回答を記入できます。このプロセスは、特にセンシティブなトピックを扱う際に重要です。例えば、個人的な意見やプライバシーに関わる内容については、匿名性がより多くの事実を引き出し、データの正確性を向上させます。


また、物理的な封筒と返信用封筒を利用することで、信頼性の高い方法でデータを回収できます。回答者のプライバシーを徹底的に保護することで、高い回収率と質の良いデータが得られ、調査結果の信頼性が向上します。

郵送調査を活用するデメリット

郵送調査には利点がある一方で、いくつかのデメリットも考慮する必要があります。以下にその主要な課題を挙げます。

 

回答率の低下の可能性

郵送調査では、調査対象者が調査票を受け取っても、必ずしも回答を返送してくれるとは限りません。この回答率の低下は、調査の信頼性やデータの代表性に影響を与える可能性があります。回答率を高めるためには、調査対象者に調査の重要性や利点を事前に伝えることや、適切なインセンティブを提供すること、期限を明確に設定することが有効です。


さらには、再送を計画し、フォローアップの手紙を追加することで回答率を向上させる工夫も必要となるでしょう。それでも、調査結果を必要なサンプル数で確保するのは容易ではありません。また、未回答のフィードバックやその理由を追跡する手段が限られることも、郵送調査の難題です。

 

時間がかかる

郵送調査は、結果を得るまでに比較的時間がかかるというデメリットがあります。票のデザインから発送、回答の回収、データの入力と解析までの各ステップは、時間を要します。特に郵便の配送や返信には日数がかかり、調査全体の進行スピードを遅くする原因となります。


このため、迅速なデータ収集を必要とする場合には不向きです。スケジュールに余裕をもたせ、プロジェクト開始時に明確なタイムラインを設けることが求められます。


さらに、郵便によるコミュニケーションを利用するため、郵便事情が不安定な地域では、時間管理が一層難しくなるかもしれません。他の調査手法と比べて時間的制約が大きいため、その計画段階での戦略立てが重要になります。

郵送調査の流れ・進め方

データ集計分析 イメージ画像

郵送調査を効果的に進めるためには、計画段階から報告までの一連の流れをしっかりと押さえることが重要です。以下では、その各ステップをご紹介します。

 

調査目的の明確化

調査を開始する際の最初のステップは、調査目的を明確に定義することです。ここでの目的の明確化は、調査の成功に直結します。何を把握したいのか、どのようなデータが必要なのかを具体的に洗い出すことで、後のステップ全てがスムーズに進みます。例えば、消費者の購買行動の変化を追跡したいのか、新サービスの満足度を測定したいのかなど、具体的にすることが重要です。


また、調査結果をどのように活用するのかという目標もセットで設定します。これにより、後々の調査設計が一貫性を保ち、目的に沿った有用なデータを収集する基礎を築けます。本ステップで時間をかけることにより、曖昧さを解消し、関係者間での理解を統一し、調査プロジェクト全体の指針を得ることができます。

 

郵送調査の企画設計

調査目的が決まったら、次にするべきことは郵送調査の企画設計です。この段階では、どのような方法で調査を進行するのかを具体化します。調査対象者の選定から、調査スケジュール、予算の確保といった運用の骨子を決めます。調査対象者の選定は、該当するサンプル集団が調査結果の代表性に影響するため慎重を期する必要があります。


次に、調査スケジュールを立て、発送から回収、分析までのすべてのプロセスが円滑に行われるように計画を立てます。その後、予算内でどれだけのサンプルを集められるか、どのようなインセンティブを設けるのかを判断します。この段階では、あらゆる課題を想定し、実行計画を詳細に組み立てることが不可欠です。計画を詳細にすることで、後の段階で生じる問題を事前に回避でき、プロジェクトの円滑な進行を確約します。

 

調査票の設計 / 作成

郵送調査の核となるのが調査票の設計と作成です。このフェーズでは、収集したいデータを考慮しながら、質問内容を具体的かつ簡潔に構築します。まず、収集したい情報を明確にし、それに必要な質問を書き出します。質問は、回答者にとって分かりやすく、答えやすい形式にします。一般的には、選択式や記述式を組み合わせた方式が効率的です。設問の順序や言葉遣いも慎重に考慮し、質問の意図が誤解されない表現を用います。


さらに、調査票には、調査の目的、回答にどのぐらい時間がかかるのか、および個人情報の取り扱いについても明記し、透明性を確保することが重要です。


最後に、試しに数名に提出し、フィードバックを集めることで、質問の理解しやすさや文章の明確さを確認します。これらの手順を踏むことで、高い回答率と正確なデータの収集が見込めます。

 

郵送調査の実施

調査票が完成したら、次は郵送調査の実施段階です。この工程では、完成した調査票を選定された調査対象者に送付し、回答を回収するフェーズに入ります。まず、アンケートの郵送にあたり、封筒や返信用の資材を準備します。効率的な回収を促進するために、返信用封筒には切手貼付し、回答期限を明記することが推奨されます。


また、調査票には親切なカバーレターを添付し、回答者に調査の意味や重要性、回答方法を説明します。次に、郵送後は回収率を高めるためのフォローアップも重要です。調査期間内に、リマインダーを送付するか、再送を計画することで、回答者の意識を高めます。これにより、郵送調査の効果を最大化し、できる限り多くのデータを回収することが可能です。

 

調査結果の集計分析

回答が集まり次第、データ集計と分析のプロセスに移ります。この段階では、収集したデータを効率的に整理し、情報を視覚化しやすい形式に変換します。最初に、回答データを表計算ソフトまたは専用のデータ分析ツールに入力し、基本統計量やクロス集計表を作成します。各質問の回答分布を確認し、トレンドや興味深いパターンを抽出します。

さらに、目的に対する仮説を検証するための仮説検定や回帰分析を実施し、解釈可能なインサイトを導き出します。データ分析では、正確な結果を得るために、必要に応じてデータのクレンジングを行います。クリアで分析に基づいたインサイトが、次のステップである報告書作成へと続きます。

 

報告書作成 / フィードバック

分析結果をもとに報告書を作成することにより、郵送調査は最終段階に入ります。報告書は、調査の全過程を網羅しつつも、読み手が理解しやすい構成にすることが求められます。


まず、調査目的と背景を冒頭に示し、次に調査手法と回答サマリーを簡潔に述べます。調査結果の分析セクションでは、データから得られたインサイトを視覚的なグラフや表を用いてわかりやすく表現し、重要な発見やトレンドを強調します。


そして、目的に対する考察を加え、実務や意思決定に生かせる実行可能な提案を提示します。さらに、報告書完成後には、調査結果の概要や提案を関係者にフィードバックし、必要に応じてディスカッションを行うことで、プロジェクト全体の理解を深め、実用的な活用が可能となります。このように、報告書作成からフィードバックまでを丁寧に行うことで、郵送調査の効果的な運用が完了します。

郵送調査の注意点

郵送調査を円滑に進め、成功させるためには、いくつかの注意点を踏まえておくことが重要です。以下に主要な注意事項を挙げます。

 

回答回収の具体策

郵送調査における回答回収率を向上させるには、回答者に対して明確で具体的な指示を提供することが重要です。まず、調査開始前に、調査の目的やその意義をしっかりと伝えること、調査がどのように貢献するのかを明示することで、参加へのモチベーションを高められます。そして、返信用封筒や必要な切手を添付することで、回答者が手間を省けるようにし、回答の回収を促進します。


さらに、フォローアップの手紙やリマインダーを適切なタイミングで送ることにより、未回答者のフォローアップを徹底するのも効果的です。これにより、回答者の置き去りを防ぎ、回答率を引き上げることが期待できます。

 

時期に応じた実施計画

郵送調査を計画する際のもう一つの重要ポイントは、その実施の時期です。季節や地域の特性を考慮し、回答者の生活が落ち着いている、または手の空いている時期を選ぶことが大切です。これにより、回答率の向上が見込めます。例えば、年末年始や大型連休といった時期は避け、回答者が日常の生活リズムに戻った頃を狙うのが望ましいとされます。


また、郵便事情や配達スケジュールも調査の実施時期に影響を与えるため、地域特有の事情にも目を配る必要があります。これらを考慮した上でのタイムリーな計画は、データ収集の適正な管理と成功を支える基盤となります。

郵送調査の活用事例

全国300地点、18,000サンプルを回収する大規模な郵送調査

提供サービス住基抽出 / 調査準備 / 調査実施 / データ入力・クリーニング / データ集計
調査エリア全国300地点
調査対象者20〜74歳男女個人
サンプル数18,000サンプル
サンプル抽出方法層化二段無作為抽出
調査項目数50問
スケジュール住基抽出8週間 / 調査準備3週間 / 実査5週間 / データ入力・クリーニング5週間 / データ集計3週間
納品物ローデータ / 単純集計表 / クロス集計表

まとめ

郵送調査は、幅広い地域や多様な調査対象者に対して有効なデータ収集手法として、特にデジタル化が進む中でも重要な役割を担っています。この記事では、郵送調査の概要から、具体的なメリットやデメリット、実施方法、活用事例、注意点について掘り下げてきました。


郵送調査は、インターネット調査や訪問調査とは異なり、調査対象者が自身のペースで考えながら回答できるという特性を持ち、特に詳細で慎重な回答を必要とする調査に適しています。また、匿名性が確保されるため、回答者の正直な意見を得やすく、センシティブな情報を扱う際に効果を発揮します。


しかし、郵送調査の成功には、注意深い計画と実施が求められます。回答率を高めるための具体策や、実施時期の工夫、丁寧なフォローアップが必要です。また、現代のインターネット普及状況の中で、郵送調査の活用の最適化も考慮すべきでしょう。


最終的には、それぞれの調査目的と対象、およびリソースを考慮して適切な手法を選ぶことで、質の高いデータと洞察を得ることができます。郵送調査を効果的に活用し、確実な成果を手に入れましょう。


また郵送調査だけでなく、企業のマーケティング課題に合わせてあらゆる調査手法(インターネット調査(ネットリサーチ)/電話調査/訪問調査/会場調査など)で様々な課題の解決をサポートします。ぜひインパクトフィールドにお問い合わせください。

よくあるご質問

郵送調査の回収率は調査の内容、対象者の特性、提供されるインセンティブによって大きく異なります。一般的には、10%から30%程度が目安とされています。しかし、適切なフォローアップと魅力的なインセンティブにより、これを上回る回収率を達成することも可能です。

郵送調査は、インターネットへのアクセスが限定的な層にもリーチすることができるため、より広範囲で代表性のあるサンプルを得ることができます。また、対面やインターネット調査に比べて回答者の匿名性を確保しやすく、誠実な回答を得やすいことが大きなメリットです。

成功のためには、詳細な事前計画が不可欠です。調査目的の明確化、効果的な調査票の設計、定期的なフォローアップの実施、そして適切なインセンティブの提供が成功に繋がります。さらに調査対象者を正確に定義し、適切なサンプルサイズを設定することも重要です。

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