電話調査
調査員が対象者に電話で質問し、回答を聞き取る調査手法です。
電話調査とは、電話を通して調査対象者の意見や感想を聞き取る調査方法のことです。例えば、自社商品やサービスについての満足度や使ってみた感想、不満点などを聞き取る際に電話調査が行われることがあります。電話が調査対象者につながれば、その場ですぐに回答が得られ短期間で調査が実施できたり、具体的な意見や感想を得られたり、回収率を高められたりするなど、電話調査にしかないメリットがあります。
しかしその一方で、電話調査には、「質問内容や数が限られてしまう」「アプローチできないターゲットがいる」といったデメリットもあるため、メリット・デメリットを比較して、自社にとって電話調査が最適なのかどうかを判断する必要があります。
よく検討してから自社に導入するか判断しなければ、「電話調査を導入したのに、コストをかけただけで調査を実施した意味がなかった」といった事態になりかねません。
本記事では、電話調査の概要や、調査を導入する際のメリット、注意点、活用するためのポイントなどをご紹介・解説しますのでぜひ参考にしてみてください。
すでに電話調査をご検討の方は、下記のサービスページをご覧ください。
電話調査とは、調査担当者が電話を使って調査対象者に対して直接質問を行い、回答を収集する調査手法です。迅速に多くの情報を集めることができる上、対話形式のため詳細なフィードバックが得られやすいのが特徴です。短期間で多くのデータを収集する必要がある場合や、特定の地域や属性に特化した情報を集めたいときに非常に有効な手法です。
電話調査を利用する組織・団体 | 調査内容 | 説明 |
国・政府 | 世論調査 | 政府の施策に関する国民の意見を把握する |
企業 | 利用満足度調査 | 商品・サービスの利用満足度を把握する |
市場の動向把握 | 新商品の認知や購入の有無、製品に関する感想や意見を把握する | |
広告認知・イメージ調査 | 自社や自社商品の認知度やイメージを把握する | |
実態調査 | 市場の状態、競争企業とその商品、企業に関連する研究開発状況などを把握する | |
企業の意思決定プロセス把握調査 | 企業の経営者(顧客)がどのようなプロセスを踏んで意思決定するのかを把握する |
次に、電話調査にはどのような種類があるのかを解説していきます。電話調査の種類には、以下2つがあります。
電話調査の種類
- ①リスト方式
- ②RDD方式
1つ目は「リスト方式」です。リスト方式とは、会社が保有しているリストや、調査会社などのデータベースを保有して許諾取得済みリストの中から、調査の目的に合う対象者に電話をかける方法です。
自社が保有しているリストや調査会社などのデータベースを保有して許諾取得済みのリストを活用する場合、年代や過去の購入履歴など調査対象者の条件を細かくセグメントすることが可能です。
注意が必要なのは、保有している電話番号に限りがあるということです。細かくセグメントをすることにより対象者の人数が少なくなるケースもあります。そのような場合は対象者を選定する抽出条件を緩和するなど検討していくことも必要です。
2つ目は「RDD方式」です。「RDD」は、「ランダム・デジット・ダイヤリング(Random Digit Dialing)」の略で、電話番号の中から、ランダムに番号を抽出する方法です。
電話番号の抽出方法には以下の2つがあります。
電話番号の抽出方法 | 説明 |
等間隔抽出法 | 対象となる電話番号を並べて、一定間隔ごとに番号を抽出する方法 |
単純無作為法 | 対象となるすべての電話番号の中から、無作為に数字を組み合わせて番号を作る方法 |
RDD方式では、これらの抽出方法のいずれか、もしくは両方を組み合わせて電話番号を抽出します。例えば、「単純無作為法で地域ごとに一定数の電話番号に絞った後、等間隔抽出法で架電対象の電話番号を抽出する」などです。
RDD方式は、リスト方式のように条件を細かくセグメントすることはできませんが、自社と接点がないような世帯や、固定電話がなく携帯電話のみを所有する個人への調査も可能となっています。「選挙予測」や「内閣支持率」など、世の中全体としての意思を確認する必要のある世論調査では、RDD方式が採用されることが多いです。
電話調査には、以下4つのメリットがあります。
電話調査4つのメリット
- ①即時性に優れている
- ②調査対象者から直接具体的な意見や感想をヒアリングできる
- ③実態を把握しやすい
- ④回収率を高められる
1つ目は、「即時性に優れている」という点です。電話が調査対象者につながれば、その場ですぐに回答が得られるため、短期間で調査を行うことが可能です。
例えば、郵送調査と電話調査を比較してみましょう。郵送調査の場合、アンケート用紙を調査対象者に送付し、返送してもらうことで回答を得られますが、アンケート回収までに「郵送でアンケートの送付→調査対象者のもとに到着→調査対象者に回答を記載してもらう→アンケートの返送→アンケートが戻ってくる」といった期間が必要となり、長い期間を必要とします。
一方で電話調査の場合、その場で質問の回答を得られるため、短期間で回答を得られます。短期間で回答を集められれば、調査結果を集計や次の行動(マーケティング施策を企画・立案する、実施するなど)へもすぐに実行することができます。このように短期間で回答を集められるという点は、大きなメリットの1つであると言えます。
2つ目は、「具体的な意見や感想を得られる」という点です。紙やインターネット上でのアンケートの場合、記入式の回答欄があったとしても、手間がかかることで細かな意見や感想を回答してもらえることは多くありません。
それに対して電話調査の場合、電話を通して電話調査員(オペレーター)と調査対象者が対話でやり取りをするため、調査対象者は自分の意見や感想を入力する手間がなく、自分の意見や感想を伝えやすくなります。さらに、電話調査員(オペレーター)は詳しく聞きたい点を重点的に質問できます。
こうしたことから、記入式アンケートよりも具体的な意見や感想を回答してもらいやすくなります。
3つ目は、企業に対して電話調査を行う場合に「実態を把握しやすい」という点です。電話調査では、「〇〇の担当をされている方」というように「実態を把握している人」をピンポイントで指名できます。
例えば、「コピー機の利用状況調査」を行う場合を考えてみましょう。一度もアプローチをしたことのないX社に対して郵送でアンケートを送付した場合、担当者の部署や氏名がわからず、おおよその部署名で「総務部ご担当者様」とダイレクトメールを送付することになります。こうした場合、コピー機の利用状況を把握している担当者へ届かない、もしくは誰の目にも触れられず、捨てられてしまう可能性があります。
一方で、電話調査では「コピー機の管理を担当されている方」とピンポイントで呼び出せるため、
など、その実態を詳しく質問でき、収集したい回答を得ることができます。
したがって、企業に対して調査をする場合、電話調査を行うと詳しい実態が把握しやすくなるといえるでしょう。
4つ目は、「回収率を高められる」という点です。電話調査の場合、相手につながればその場で回答を促すことができるため、郵送調査やインターネット調査(ネットリサーチ)などに比べ、回収率が高くなる傾向にあります。
郵送調査やインターネット調査(ネットリサーチ)では、調査対象者に届いたとしても、回答するかどうかは受け取った本人次第です。そのため、「面倒だ」「手間がかかる」といった理由で、回収率はなかなか上がりません。回収率が低ければ、偏った一部の意見だけを集計することになり、真実とはかけ離れた結果となる可能性があるでしょう。
その一方、電話調査の場合、一度対象者に電話がつながり、相手に失礼のないよう挨拶をして質問を投げれば、対話形式での回答であるため回答してもらいやすくなり、信憑性の高い結果を得られるでしょう。
他の調査手法と比べ、その場で質問を投げかけることで回答を促すことができるため、回収率を高められるという点は、電話調査の大きなメリットといえます。
電話調査には以下の2つの留意点があります。
電話調査の留意点
- ①質問内容や数が限られてしまう
- ②アプローチできないターゲットがいる
1つ目は、「質問量や内容が限られてしまう」という点です。なぜならば、電話調査では電話によるヒアリングによって、対象者を時間的に拘束してしまうからです。電話調査に要する時間の目安は15分以内といわれており、それ以上の通話は対象者の時間を奪ってしまい、苦情につながる可能性が高くなります。
電話調査が15分以内となると、質問の量や内容が制限されるため、
が求められるのです。
よって、質問したい項目が多くある場合、もしくは複雑な質問項目がある場合は、電話調査では十分な調査結果が得られないケースが多いでしょう。
一方で、郵送調査やインターネット調査(ネットリサーチ)であれば調査対象者のペースで回答ができるため、電話調査よりも多く質問項目を記載することができます。また、質問を理解してもらうために図や表を掲載できるため、複雑な質問を記載することも可能です。
したがって、電話調査では、電話できる時間が限られていることから、質問内容や質問数が限られてしまうという点は留意する必要があります。
2つ目は、「アプローチできないターゲットもいる」という点です。携帯電話の普及により知らない番号やフリーダイヤルからの電話を拒否している調査対象者や、電話番号を聴取できていない場合などもあるため、アプローチできないターゲットが増えています。電話調査において、アプローチできないターゲットがいるという点にも留意が必要でしょう。
電話調査の導入が向いている企業は以下のとおりです。
電話調査の導入が向いている企業
- ①具体的な回答を短期間に回収したい企業
- ②認知度が高い事項に対する市場の意見や感想を探りたい企業
- ③特定の商品・サービスを利用している顧客に、さらなるニーズをヒアリングしたい企業
1つ目は、「具体的な回答を短期間に回収したい企業」です。電話調査では、対象者に電話がつながればその場ですぐに回答が得られます。そして、オペレーターが詳しく聞きたい点を重点的に質問できるため、具体的な回答を得ることができるのです。
例えば、商品・サービスの満足度や不満点の調査に電話調査を導入すれば、その場ですぐに商品・サービスに対する顧客の具体的な意見や感想をヒアリングすることができます。
このように、質問項目を絞って具体的な回答を短期間で得たいと思っている企業には、電話調査の導入が向いています。
2つ目は、「認知度が高い事項に対する市場の意見や感想を探りたい企業」です。特別な説明がいらない事項を調査する場合、詳細な説明をしなくても質問を理解してもらうことができ、回答者側からもスムーズに回答を得られる状況と言えます。
例えば、商品を宣伝するタレントを候補の中から1人に決める際、電話調査で「商品Aの宣伝をするなら、タレントのBさん、Cさん、Dさんの中でよりイメージに合っている人は誰だと感じるか」といったように意見を集めることがあります。有名なタレントであれば、特別な説明をしなくてもタレントに対するイメージをすでに回答者は持っているため、スムーズに回答してもらうことができます。
したがって、認知度が高い事項に対する市場の意見を探りたいと考えている企業は、電話調査の導入が向いています。
3つ目は、「特定の商品を使用している顧客に更なるニーズをヒアリングしたい企業」です。上述でもお伝えしたとおり、電話調査は、質問項目を絞って具体的に回答してもらうことに向いている方法です。そのため、特定の商品を使用している顧客に対し、使用している商品に関する意見や感想、要望をさらに詳しく聞き出すことができます。
例えば、「現在使用しているパソコンについて、満足している点、もっとこうなったら良いのにといった要望があればお教えください」などといったように、電話を通して顧客に問いかけることで、顧客は自由に商品について感じていることを伝えてくれるでしょう。深堀りして聞きたい箇所があれば、話の流れでさらに聞き出すことも可能です。
こうして、特定の商品を使用している顧客に対し、さらなるニーズを聞き出したいと思っている場合、柔軟にニーズを聞き出せる電話調査は適しているのです。
電話調査は、専門の企業にお任せするとスムーズに実施できます。なぜなら、電話調査のノウハウをもったスタッフが準備を行い、経験豊富な調査員(オペレーター)が対応するため、精度の高い回答を取得することができるからです。対象者に電話をかけ、回答のニュアンスを汲み取りながらヒアリングができるため、具体的かつ詳細な意見や要望などを得られます。
一方で、自社で電話調査を実施すると、調査を実施する前の準備に工数が掛かり、電話調査員(オペレーター)が電話調査の対応に慣れていないため、必要最低限の質問項目を聞き出すことはできていても、さらに詳しく聞くべきことを聞けていないなど、精度の低い回答しか得られない可能性があります。
さらに、上述でご紹介したとおり、電話調査にはツールの導入や人員の採用、もしくは他部署からの配置などによって費用がかかったり、人的リソースを供給したりする必要があります。これまで電話調査を実施したことがない場合、電話調査を実施するまでのハードルは高いでしょうこうしたことから、電話調査を行ったことがない企業は一度、プロに依頼することをおすすめします。
インパクトフィールドでは顧客のニーズ・満足度を収集するため、電話調査サービスを提供しています。電話調査のノウハウをもったスタッフが調査方法や調査内容、スクリプトをはじめとするマニュアルの準備を行い、電話でのコミュニケーションにおいて経験豊富な電話調査員(オペレーター)が対応します。
また電話での調査だけでなく、企業のマーケティング課題に合わせてあらゆる調査手法(インターネット調査(ネットリサーチ)/訪問調査/郵送調査/会場調査など)で様々な課題の解決をサポートします。ぜひインパクトフィールドにお問い合わせください。
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