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棚割(たなわり)とは?売上を最大化する陳列の設計図
作成手順と維持のポイント
棚割(たなわり)とは?基本定義と役割
小売店舗における「棚割(たなわり)」とは、陳列棚(ゴンドラ)のどの位置に、どの商品を、いくつ(何列)並べるかを計画・決定することです。 単に商品を並べる作業ではなく、「この棚でいくら売るか」を計算し、顧客にとって買いやすい売り場を作るための戦略的な配置計画を指します。
小売業における「売り場の設計図」
家を建てる際に設計図が必要なように、売り場を作る際にも設計図が必要です。 棚割が決まっていないと、品出しスタッフはどこに商品を置いていいか分からず、補充作業が非効率になります。また、売れ筋商品の在庫スペースが足りずに欠品したり、逆に売れない商品が特等席を占領したりといった事態を招きます。 棚割は、店舗運営の効率化と売上最大化の両方を担う基盤なのです。
プラノグラム(Planogram)との違い
業界では「棚割」のことを「プラノグラム(Planogram)」と呼ぶこともあります。これは「Plan(計画)」と「Diagram(図解)」を組み合わせた造語です。 厳密な使い分けはありませんが、日本国内の現場では「棚割」、システムやマーケティング用語としては「プラノグラム」が使われる傾向にあります。近年では専用の棚割ソフト(POGソフト)を使って、バーコード情報やパッケージ画像を紐付け、視覚的にシミュレーションを行うことが一般的です。
なぜ棚割が必要なのか?3つの目的
- 売上の最大化: 顧客の視線や動線を計算し、「ついで買い」や「比較購買」を誘発する配置にすることで、客単価や買上点数を向上させます。
- 作業の効率化: 商品の定位置(住所)を決めることで、品出しや発注、在庫管理の迷いをなくし、店舗スタッフの作業時間を短縮します。
- ブランド・店舗イメージの統一: チェーンストアにおいて、どの店舗に行っても同じように商品が並んでいることは、顧客への安心感とブランドイメージの確立に繋がります。
売上が変わる!効果的な棚割作成の基本理論
なんとなく並べるだけでは売上は伸びません。棚割には、購買心理学やデータ分析に基づいたセオリーが存在します。
顧客の購買心理と視線誘導(Zの法則)
お客様が棚を見る際、視線は「左上から右下」へ、あるいは「左から右」へと流れる傾向があります(Zの法則)。 この習性を利用し、以下のような配置にするのが基本です。
- 左上(スタート):売れ筋商品、新商品、季節の目玉商品を配置し、まず目を引く
- 右上(定番):定番商品、または右利きの人が取りやすい位置に商品を配置
- 左下(誘導):店舗が知りたい商品や、左上の商品と関連する商品を配置
- 右下(ゴール):利益率の高い高付加価値商品、比較商品、プレミアム商品を配置し、最後に購入へつなげる
商品のランク分け(ABC分析)と配置
POSデータを活用し、売上貢献度によって商品をランク分けします。
- Aランク(売れ筋・主力): 全体の売上の大部分を作る商品。最も目立つ場所に配置し、在庫切れを防ぐために広いスペースを与えます。
- Bランク(準主力): 定番として品揃えに必要な商品。Aランクの周辺に配置します。
- Cランク(死に筋・見せ筋): 売上は低いが、品揃えの幅を見せるために必要な商品、あるいはカット候補の商品。棚の上段や下段に配置します。
「フェイス数」の決定と在庫効率
「フェイス(Face)」とは、商品がお客様に向いている面の数のことです。 「この商品は売れるから3列(3フェイス)並べる」「これはあまり売れないから1列(1フェイス)にする」といった調整を行います。 フェイス数は「見やすさ」だけでなく「補充頻度」にも関わります。売れる商品のフェイス数が少ないとすぐに棚からなくなり、頻繁な補充が必要になる(=欠品リスクが高まる)ため、売上数量に見合ったスペース配分が必要です。
ゴールデンゾーンの戦略的活用
棚の中で最も商品が売れる高さ、床から60cm〜160cm(特に85cm〜125cmの目線の高さ)を「ゴールデンゾーン」と呼びます。 ここには、Aランク商品や、メーカーが力を入れている新商品、利益率の高いPB(プライベートブランド)商品を配置します。逆に、ここを回転率の悪い商品で埋めてしまうことは、売り場の生産性を著しく下げることになります。
失敗しない棚割作成の4ステップ
実際に棚割を作成する際の手順を解説します。現在は専用ソフトを使うことが多いですが、思考プロセスはアナログでも同じです。
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STEP1
現状分析と課題の抽出(POSデータ活用)
まずは現状の棚の成績表を作ります。 「どの商品が売れているか」「どの商品の回転率が悪いか」「昨年の同時期は何が売れたか」をPOSデータやID-POSデータから分析します。 ここで、「売れていないのにフェイス数をとりすぎている商品」や「売れているのに下段に追いやられている商品」を見つけ出します。
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STEP2
コンセプトと仮説の立案
まずは現状の棚の成績表を作ります。 「どの商品が売れているか」「どの商品の回転率が悪いか」「昨年の同時期は何が売れたか」をPOSデータやID-POSデータから分析します。 ここで、「売れていないのにフェイス数をとりすぎている商品」や「売れているのに下段に追いやられている商品」を見つけ出します。
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STEP3
具体的な割り付け(ゾーニングとグルーピング)
棚全体をどう区分けするか(ゾーニング)を決めます。 例えば、ドラッグストアのシャンプー売り場なら、「ダメージケア」「スカルプケア」「オーガニック」といったカテゴリーごとにブロック(グルーピング)を作ります。 その後、各商品におけるフェイス数を決定し、パズルを埋めるように配置していきます。この際、縦に同じブランドを並べる「バーチカル陳列」などを意識します。
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STEP4
検証と修正(メンテナンス)
棚割は一度作って終わりではありません。 導入後、実際に売上がどう変化したかを検証します。予想より売れなかった商品は場所を移動したり、カットしたりするなどの微調整(メンテナンス)を繰り返すことで、精度の高い棚割へと進化します。
定番棚とプロモーション棚の違い
棚割には大きく分けて2つの種類があり、それぞれ役割が異なります。
定番棚割(レギュラー)の考え方
店内の大部分を占める、いつもの売り場です。
- 目的: 顧客がいつ来ても、欲しい商品が必ずある「安心感」と「利便性」を提供すること。
- 変更頻度: 半年に1回(春夏・秋冬)の大きな改装(棚替え)に加え、四半期ごとの新商品導入時に修正を行います。
- ポイント: 品揃えの幅と、欠品させない在庫管理が重要です。
特売・エンド棚割(プロモーション)の考え方
通路に面した棚の端(エンド)や、入り口付近の催事スペースです。 ※上記画像の点線部分
- 目的: 季節感の演出、新商品の認知拡大、価格訴求による衝動買いの誘発。
- 変更頻度: 週単位、あるいは月単位で頻繁に入れ替わります。
- ポイント: インパクト重視です。大量陳列や派手なPOPで視覚に訴えかけます。
棚割における「本部」と「現場」の深い溝
多くのチェーンストアでは、本部バイヤーが棚割(基本パターン)を作成し、各店舗へ指示を出します。しかし、ここで大きな問題が発生します。
完璧な棚割が現場で崩れる理由
本部が完璧なデータを元に作成した棚割でも、現場ではその通りにならないことが多々あります。
- 店舗構造の違い: 什器のサイズや段数が店舗によって異なり、指示通りに入らない。
- 地域特性: 「この地域ではこの商品は売れない」といった現場の判断(または思い込み)で、勝手に商品が入れ替えられる。
- 作業負荷: 人手不足で棚替え作業が追いつかず、古い棚割のまま放置される。
- メーカーの介入: ラウンダー等の営業活動により、特定の商品が割り込んでくる。
「個店対応」の難しさと重要性
全国一律の棚割は効率的ですが、地域ごとのニーズ(個店差)に対応できないデメリットがあります。 理想は、基本の棚割を守りつつ、各店舗の客層に合わせて微調整を行うことですが、本部が数百店舗すべての状況を把握し、個別の棚割を作ることは物理的に困難です。
実行力を高める!棚割維持のためのマネジメント
「計画(Plan)」した棚割を、確実に「実行(Do)」し、維持するためにはどうすればよいのでしょうか。
ラウンダー(フィールドスタッフ)の役割
ここで重要になるのが、メーカーやベンダーが派遣する「ラウンダー」の存在です。 ラウンダーは店舗を巡回し、以下の活動を行います。
- 棚割の実装支援: 本部決定の棚割通りに商品を並べ直す。
- メンテナンス: フェイスアップ(前出し)を行い、乱れた棚を整える。
- 情報収集: 現場で何が起きているか(競合の動き、実際の売れ行き)を本部にフィードバックする。 ラウンダーは、本部の戦略を現場で具現化するためのラストワンマイルを担っています。
売り場の「シェア率」を把握する(ShareWatcher)
棚割管理を一歩進めると、「自社商品が棚の何%を占めているか(棚シェア率)」の分析に行き着きます。 棚割図上のシェアだけでなく、実際の店舗で競合商品に押されていないか、価格はどうなっているか。こうしたデータを画像解析AIなどで数値化するツール(例:ShareWatcher)を活用することで、より戦略的な棚割提案が可能になります。
>「ShareWatcher」についてはこちら!
現場の棚割状況を瞬時に把握「MarketWatcher」
「全店舗で最新の棚割が反映されているか確認したい」「ラウンダーに指示を出して修正させたい」。 そうした現場管理の課題をシンプルに解決するのが、ラウンダー管理システム「MarketWatcherNEO(マーケットウォッチャーネオ)」です。
>インパクトフィールドが提供する「MarketWatcher」はこちら!
スマホ写真で「計画通り」か一目で確認
MarketWatcherNEOは、フィールド活動の報告・管理に特化したクラウドツールです。
- ビジュアル報告: ラウンダーや店舗スタッフがスマホで棚の写真を撮るだけで、報告完了。本部担当者は管理画面で写真を一覧表示し、棚割指示書通りになっているか瞬時にチェックできます。
- 指示の徹底: 「ここを修正してください」といった指示をシステム上でやり取りでき、修正後の「After写真」も履歴として残せます。 複雑な機能よりも、「現場の状況を正しく見る」「指示を確実に通す」ことに特化しており、棚割戦略の実行精度(コンプライアンス)を高めるための強力なインフラとなります。
【よくある質問(FAQ)】
一般的には、消費トレンドが変わる春と秋の「年2回」が大規模な見直しのタイミングです。ただし、新商品の発売や季節イベントに合わせて、部分的な修正は毎月、あるいは毎週行うのが理想的です。
小規模な店舗や商品数が少ない場合はExcelや手書きでも可能ですが、多店舗展開や数千アイテムを扱う場合は、効率化とデータ連動のために専用ソフトの導入が一般的です。視覚的にシミュレーションできるメリットは大きいです。
VMD(Visual Merchandising)は店舗全体の視覚的演出や売り場作り全体を指す広い概念です。棚割(Planogram)はそのVMDの一部であり、具体的にどの商品をどこに置くかという「詳細な配置計画」を指します。VMDが戦略で、棚割が戦術と捉えることもできます。
いいえ、MarketWatcherNEOは「作成された棚割が、現場で守られているか」を管理・報告するためのシステムです。棚割の作成(シミュレーション)自体は専用の棚割ソフトで行い、その実行管理にMarketWatcherを使用するという使い分けになります。
【まとめ】
棚割は、商品の売上を最大化し、店舗運営を効率化するための重要な設計図です。
- 顧客心理(Zの法則)やデータ(ABC分析)に基づいて科学的に配置する。
- ゴールデンゾーンなどの「売れる場所」を戦略的に活用する。
- 定番とプロモーションで役割を使い分ける。
しかし、最も重要なのは「立派な棚割を作ること」ではなく、「それを現場で維持し続けること」です。どんなに優れた戦略も、店舗で実行されていなければ意味がありません。
本部と現場のギャップを埋め、棚割の完全実施を目指すなら、ラウンダーの活用と、現場の「今」を可視化するツールの導入をお勧めします。 MarketWatcherNEOで、絵に描いた餅ではない、売上に直結する売り場管理を実現しましょう。
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